カウンセリングの「効果」

公開日:2017/11/30
更新日:2020/09/10

 

 

目次

  1. はじめに
  2. 苦悩やしんどさの緩和・解決
  3. 生き方が変わる
  4. 癒し
  5. 留意点
  6. 参考文献

 

 

1.はじめに

 

今回のブログでは、浦和南カウンセリングオフィス(以下、当オフィス)のカウンセリングで生じうる「カウンセリングの効果」を、ご説明したいと思います。この様な前置きをしたのは、カウンセラーによって、カウンセリングの「効果」の定義は様々に異なるからです。なお前提として、下記の効果は、一回のみのカウンセリングでは、生じづらいものである事を、最初にお伝えしておきます。

 

2.苦悩やしんどさの緩和・解決

 

当たり前ですが、精神科の医療機関であれ、当オフィスのようなカウンセリングの専門機関であれ、カウンセリングを受けようとする方(クライエントさん)の多くは、何らかの精神的な苦痛ややしんどさ・生きづらさを抱え、それらをどうにかしたいと思って、来られます。

 

なので、まずは、そこを一番重視してカウンセリングをしていきます。カウンセリングの方法は、その方に応じて、そして話し合いつつすすめていきます。そして、上手くいけば(当然そうなるように、こちらは精いっぱいのことをするわけですが)、クライエントさんが抱えていた「苦悩・しんどさ・問題」が、緩和・解決されていきます。

 

これが一番わかりやすい、カウンセリングの効果で、クライエントさんにはもっとも重要な点と言えるでしょう。

 

3.生き方が変わる

 

これは、よくクライエントさんに伝えることなんですが、私はカウンセリングで「良くなる」というのは、たんに、カウンセリングを受ける「以前」の状態に戻る事ではなく、カウンセリングの積み重ねによって、「生き方」、あるいは、「心に何らかの変化や、新しい何か」が生まれる事だと考えています。それがたとえ小さいものであっても。

 

というのも、カウンセリングにくる以前の状態というのは、「悩みやしんどさ・精神的な失調」を生じやすい、「心の状態・生き方をしていた(せざるをえなかった)可能性が高い」からです。そういった状態に、何らかの引き金が加わって、悩みや苦悩が大きくなったり、精神的な失調が生じて、カウンセリングに来られるわけです。

 

という事は、カウンセリングの効果が、単にカウンセリング前の状態に戻る、という事は、以前の、心身のバランスを崩しやすい「不安定さを抱えた状態」に戻る、という事になります。

 

なので私は、「せっかく大変な苦労をして、お金まで払ってカウンセリングを受けているのだから、どうせだったら、単に以前の状態に戻る事だけを目的とするのではなくて‥」といった事を、上記の根拠と共にクライエントさんに伝えていきます。

 

そうすると、多くのクライエントさんが同意・納得なさいます。この効果は、言い方を変えれば、「人間的な成長・成熟が生じる」、とも言えるのかもしれません。いずれにせよ、カウンセリングの効果として、カウンセリングを一定期間受ける「前と後」では、生き方や心に、「何らかのポジティブな違いが生まれる」、という事もあげたいと思います。

 

4.癒し

 

私は「癒し」という言葉を、色々な理由から、あまり用いないのですが、たしかに「癒し」と表現できうることが、カウンセリング中に生じる事が少なからずあります。色々な「癒し」が生じますが、ここでは、その中から浮かんだ一つの「癒し」について、書きたいと思います。

 

それは、小説家の村上春樹さんと、故、河合隼雄(臨床心理学者)とのやり取りから(本になっています)浮かんだものです。

 

村上さんはそこで、大よそのニュアンスになりますが、「自分(村上さん)が話しをしている時に、その内容が、丸ごと正確に、河合先生に理解されている。そしてその感覚が、ありありと伝わってきた。それが何よりうれしい事で、励ましになる事だった」と述べていました。

 

村上さんは、ここで「癒し」という言葉は使っていませんが、誰かが、自分の事を「本当に深いところで理解してくれている」と「リアルに強く感じられる体験」は、その人にとって、「大きな安心感・癒し」になるのではないでしょうか。私自身も、自分の深い悩みを他者に話した時、“その人に自分の話が伝わった”、とリアルに思える時は、同様の感じが生じます。

 

カウンセリングにひきつけて考えると、私がクライエントさんを「本当に深く」理解し、それがクライエントさんに、「しっかりと伝わる時」、クライエントさんに、安心感や癒された、という感覚が生じるのだと思います。これは、カウンセリングで生じる一つの「癒し」といっていいように思います。

 

他にも、色々とカウンセリングの効果はあると思いますが、今回はこのあたりにしたいと思います。また、続きを記事にしたいと思います。当オフィスでのカウンセリングの特徴が、少しでも伝われば幸いです。

 

5.留意点

 

たまに、カウンセリングを受ける事で、「それまでの自分がなくなってしまうのではないか」「大きく変わり過ぎてしまうのではないか」と不安になる方がおられますが、少なくとも当オフィスでのカウンセリングでは、そういった事はありませんのでご安心ください。

 

人は、何らかの変化が生じる時、ある程度の不安が生じる事はありますが、当然「その不安もとりあげながら」、慎重にカウンセリングをしていきます。当オフィスのカウンセリングは、大きな「人格改造」を目的とするようなものではございませんので、ご安心いただければと思います。

 

 

6.参考文献

*上記のリンク先が削除される可能性がある事をあらかじめ、ご了承ください。