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「働かざる者食うべからず」という言葉

「働かざる者食うべからず」という言葉が、いつ頃から、どういう経緯で日本に流布されているのかわかりませんが、この言葉を聞くと、いつも、何とも言えない、少々しんどい気持ちになります。

 

もちろん、働くことは様々な意味で重要です。それを否定する気は全くありません。今のカウンセリングの基礎を作ったとされる、フロイトという人も、労働の大切さを述べています。そして私も働いています。

 

ただ、この言葉は、刺激が強すぎるように思うんです。副作用が大きすぎるといいますか。というのも、この言葉は、働きたいけど、働く意欲はあるけど、何らかの事情やアクシデントによって、働くことが困難な方達に、「もって行き場のない、やり場のない感情や葛藤」を生じさせるだけなのではないか‥と思うんです。

 

そして、何らかの事情やアクシデントによって、働くことが困難になる可能性は、実は、一分後の「私」にも「あなた」にもあるわけです。誰でも、「本当に」当事者になりえるわけですね。

 

繰り返しますが、働くことは様々な意味でとても大切ですし、意味のある事です。ただ、「働くことの大切さ」を啓発するなら、もう少し別の言葉がいいな~と思います。あるいは、「自分が当事者にいつでもなりうる」という事を心におけば、もう少し穏当な、副作用の少ない言葉が広がっていくかな~、そうなるといいな~なんて事を考えたりします。