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強い怒りや悲しみへの対処の仕方

人間は誰でも時に強い怒りや悲しみにおそわれることがあります。今回はそういった時に役立つ、一つの対処方法・視点をお伝えしたいと思います。

 

例えば強い怒りがわくとき。それが、一過性のものであれば、今流行りのアンガーマネージメントで対応可能かもしれません。あるいは、「時間の経過」のなかで、自然とそれが和らいでいくようであれば、「時間薬」も有効な手段だと思います。

 

しかし、一過性でもなく、時間による緩和も難しい場合。私は、「強い怒り」の裏側に別の感情がないかを探索してみる、という作業をおすすめしています。

 

というのは、いつまでも続く、断続的に繰りかえされる怒りの場合、その裏側に実は強い「悲しみ」だったり「傷つき」だったり、あるいは「恥」など、別の感情が潜んでいることが多いからです。

 

単純化した例をだすと、人間が何かの出来事に遭遇して、様々な感情がわいてきたときに、「悲しみ」や「傷つき」を感じると、しんどいから、あるいはつらいから、「怒り」の方だけに自ずとフォーカスして、怒りだけを感じる(ように無意識的にしている)、という事はよくあります。怒りで悲しみをコーティングしているといいますか。

 

もちろん、悲しみや傷つきをもろに体験したら、しんどすぎる場合、無理にそれらに触れる必要はないでしょう。けれども、それらに触れても、「なんとかなる」のであれば、強い怒りの感情の裏側に、実は隠れている感情に注意を向け、それを感じたり味わったりしていけると、結果として強い怒りの感情が和らいだり、悲しみや傷つきが癒されていく、という事も生じえます。

 

これは、カウンセラーと一緒にやると、より安全に効果的にできると思います。

 

このアプローチは、例えば何かあると「しょっちゅう泣いてしまう」という方にも有効だったりします。彼らはたいてい「傷ついた」「悲しい」といった訴えをします。状況をきいていると、それはその通りなのです。けれども、よ~く彼らの話を聞いていると、「悲しみ」の裏側には、「強い怒り」が隠れていたりします。

 

こういったとき、その怒りを自覚できれば、彼らは何かあると泣く人、から、必要であれば、怒りをエネルギーとして、NOを伝えたり、自己主張をしたり、といった事ができるようになる可能性があります。

 

このように、自分が自覚している強い感情(怒りであれ悲しみであれ)の裏側にある感情に注意を向け、それに気づいたり、その感情に触れていく、といった、ある種の探索的作業をしていけると、自覚している強い感情と、裏に隠れている感情が同時に和らいだり、落ちついたり、場合によっては癒されたり、行動のエネルギー源になったりしうるのです。

 

これは、私が実際のカウンセリングで、必要に応じて用いている方法です。強い怒りなどの感情への対処のレパートリーの一つに、あるいは「感情の取り扱い」の幅を広げるものになれば幸いです。