公開日:2020/07/09
目次
文責 福田 優菜
1.コロナ禍における心の健康について
コロナウィルスの蔓延によって、私たちの生活は大きな変化を余儀なくされています。誰もがこれまで経験したことのない事態で、変化に戸惑いや不安を感じることも多いのではないでしょうか。
私自身もこの数か月間は、変化に対応するのに疲弊していました。5月に緊急事態宣言は解除され、少しずつ日常を取り戻しつつありますが、すぐにコロナ以前の生活に戻ることは難しそうです。
今回は、このような事態の中で心の健康を保っていく方法について、私自身の体験やカウンセラーの知人から聞いたことなど、周囲で見聞きする話も含めて書いてみようと思います。
2.心身の不調を感じて当然だと捉える
コロナウィルスの流行で生活が変わり、どのようなしんどさを感じているでしょうか。
- 自分や周囲の人が感染することへ不安や怖さ
- 感染のニュースにさらされ続けることで不安が増大する
- 仕事が休業になるなど金銭面での不安
- 在宅勤務や時差出勤の導入で生活リズムが変化したことによる心身の不調
- 趣味や楽しみ(スポーツ・旅行・買い物・飲み会・ライブ等)を制限せざるをえないこと
など、挙げればキリがありません。特に今回は、いつ頃収束するかという見通しをたてることが難しいので、より負担に感じやすかったのではないかと思います。
まずお伝えしたいのは、「このような状況で不安になったり身体の不調を感じたりするのは当然の反応である」ということです。不安や疲労を感じたら、慌てたり過度に動揺せず、「当然だ」と捉えゆっくり休むよう留意するなど、まずはベーシックな対応を意識されると良いのではないかと思います。
3.今、やりたいことは?
今の生活で我慢していることや、今やりたいことはなんでしょうか。
私はというと、気の合う友人と一緒にご飯を食べながら雑談することです。コロナの流行以前には当たり前すぎて感じていませんでしたが、自分にとって大事な時間だったことに気づかされました。コロナウィルスの流行で、自分にとって大事なものが浮き彫りになってきているのかもしれません。
今後もしばらくは、複数人での会食は避けた方が良いといわれています。しかし、我慢し続けるだけでは不満やストレスが溜まっていきます。
そこで私の場合は、友人とオンラインでつながる時間を増やすようにしました。直接会うことと比べると、画面越しなので距離も感じてしまいますし、同じ食べ物を食べて美味しさを共有することはできませんが、それでも心が満たされたのを感じました。
以前の状態に今すぐ戻ることは難しいですが、「今できる範囲で自分の欲求を満たしてあげること・今の状況に適応する方法を考えてみること」は心の健康を保つために重要だと思います。
4.自分にとって「よかったところ」は?
逆に、コロナの影響で自分にとって良かったと思うところはないでしょうか。すぐには思い浮かばない方もおられるでしょうが。。
例えば私の場合でいうと、通勤電車の混雑が緩和されたことや、正直あまり気がのらないと思うような集まりがなくなったことが最初に思い浮かびます。これまで自分が負担に感じてきたことに気づかされた瞬間でした。自分が「実は~が負担だったんだ」という気づきは、心の健康にとって重要です。
私がカウンセリングでお会いしているクライエントさんの中にも、コロナで生活が変わり、「これまでストレスに感じていたことが緩和された」とお話しされる方が複数おられました。今までの生活で当たり前だったことがなくなってみて、自分が無理をしてきたことに改めて気づくことがあるかもしれません。
5.今回の記事のまとめ
今回お伝えしたかったことは、コロナの影響で当たり前だった生活が変化することで、「自分にとって重要なことや負担に感じていたことが浮き彫りになる」ということです。
自分にとって重要だけど今は控えなくてはいけないことについては、全てを我慢するとストレスとなってしまいます。そのため、代替案を探したり、リスクを減らす対策をとったりして、可能な範囲で継続していく方法を探してみると良いと思います。
反対に、負担に感じていたことについては、これを機に可能な範囲で今後も減らしてみるのも良いかもしれません。
何が重要で何が負担に感じるかは人によってさまざまですし、可能な対処法も人によって異なりますが、「自分にとって重要なことと負担に感じることを新たに理解・再認識し、そこから今後の生活の仕方を考えていくこと」はとても重要だと思います。
おそらく、感染のリスクは今後もしばらく続いていくと思います。第2波が来る可能性もあり、そうなると再び緊急事態宣言時のような状態に戻ることも予想されます。その時に、今回の経験を次に生かして自分なりにストレスに対処できるようになると良いと思います。
コロナ以前の生活に戻ることも大事ですが、現在の状況をみると、現実的に難しいことも多いのではないかと考えられます。当面は続く可能性が高い新しい生活に自分を慣らしていく、適応できる対処方法を多く持てるよう意識してみると、心の健康を保つことにつながるのではないかと思います。