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自分へのアップデートが常に求められるしんどさ

公開日:2017/09/17

更新日:2020/10/03

 

 

目次 

 

  1. 女性誌をめぐるカウンセラーとの会話
  2. 「今より良いものを」と心が常に煽られる現代社会 
  3. カウンセリング場面では
  4. 自分へのアップデートが常に求められるしんどさ

 

1.女性誌をめぐるカウンセラーとの会話

 

以前何人かのカウンセラー(臨床心理士)と幾つかの女性誌を巡って会話をしていました。印象に残った部分を短くいうと下記のような会話です。

  • 女性カウンセラー「あ~いう雑誌はね‥結局女性同士の競争を煽ったり、そこから負けたら‥的な不安を煽っているんだと思うよ」
  • 男性カウンセラー1「そうなんだ~。あと、女性誌って夫への不満も煽っているような気がするんだけど‥」
  • 男性カウンセラー2「なんか、煽りビジネスと言えるような‥」 

そこで話されていたのは、それらの女性誌は女性の「不安と不満を煽っている」面があるのではないか、それが結果的に女性の生きづらさをうんでいるのでは、というものでした。

 

2.「今より良いものを」と心が常に煽られる現代社会

 

その会話がどの程度的を得ているのかはわかりません。何気ない会話でしたので。そこから、“この「煽り」や「煽りによる生きづらさ」はなにも女性誌や女性に限ったことではないな~”といった連想がうかびました。今の社会をみると、この「煽り」はいたるところに存在しています。

 

ためしにテレビ・新聞や雑誌・インターネット・電車内広告などを見てみてください。下記のような文言に溢れています。 

 

  • 「今より、良い乗り心地を‥(車)」
  • 「今より、快適なお住まいを‥(住宅)」
  • 「今より、健康で美しい体・体型・素肌を‥(ダイエット・ジム・サプリメント・健康食品・化粧品)」
  • 「今より、美しくあなたらしい装いを(洋服)」
  • 「今より、成功をおさめるために‥(自己啓発系セミナーやスキル・ノウハウ本)」
  • 「今より、楽であなたらしい生き方を‥(癒し系・自己啓発系)」
  • 「今より、便利な~を(スマホ・PC・掃除機・洗濯機などありとあらゆる物がはいります)」

 

‥などなどあげたらきりがありません。これは逆に言うと、「あなたは今のままで本当にいいのか」という問いに、心が常にさらされている状況とも言えます。そして現代社会のこの状況は、我々の心にひそかに不安や生きづらさを生じさせる可能性があります。

 

というのも、常に「今のままでいいのか」という情報に煽られ、さらされ続けていくと、気づかないうちに「私は今のままでいいのか…」という不安にからみとられていくからです。

 

3.カウンセリング場面では

 

このような現代社会の風潮や、それが心に与える影響はカウンセリング場面でも生じてきます。一つの典型例は「子育て」かもしれません。

 

子育てに関してはとにかく情報が溢れています。その中で知らず知らず「~が良い子育て」といった情報に触れていく中で、いつの間にかその情報が「世間一般の平均値」となっていき、その情報と自分の子育てを比較していくわけです。そしてそこから“自分の子育ては大丈夫なのか‥”と過度に不安になっていく。

 

このような心の動きは、ときに当人にとって強い生きづらさや不安を生じさせていきます。

 

4.自分へのアップデートが常に求められるしんどさ

 

現代社会の上記のような風潮は、自分に関する様々な側面への「アップデート、アップグレード」を知らず知らずのうちに求められ、強要されている状況といってもいいかもしれません。しかも「常に絶え間なく」です。

 

もちろん、そういった刺激からより良い人生に結びつく場合もあるので良い側面もあると思います。

 

しかし、上記のような「煽り文句にさらされ続けていると、知らず知らずのうちに今の自分に漠然とした不安、不全感を感じたり、「漠然とした世間」と比較し、場合によってはそこからなんらかのしんどい行動をしていく可能性もあります。例えば冷静に考えれば「非生産的なこと」に多額のお金をかけたり、時間や労力をつぎ込んだり。

 

好むと好まざるに関わらず、我々はそのような社会で今を生き、それは我々の心にも影響をあたえていくわけです。そう考えると、現代社会のそういった風潮や、それが心に与えうる影響を多少なりとも自覚しつつ生きることは心を守るために役立つと思います。

 

現代の社会が心に与える影響は様々な切り取られ方をしますが、今回は心の健康に直結する側面をピックアップして検討してみました。今回の記事が、多少なりとも皆さまの心の健康や気づかないうちに生じてくる生きづらさや不安の軽減に役立てば幸いです。 


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