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お説教の長さと効果の関係

今回は、臨床心理学者の、故・河合隼雄という方が書かれた『心の処方箋』という本の中の一節、「説教の効果はその長さと反比例する」という文章を読んで考えた事を書いてみようと思います。

 

まず、この「説教の効果はその長さと反比例する」が目にとび込んできた時に、直感的に「だよな~」と思いましたが、皆さんはどうでしょう?おそらく多くの方が、経験的に納得できるのではないでしょうか。

 

河合先生はまず、何故説教は長くなるのか?に関して

①説教をしている方は「良いこと」を言っているので、喋りながら自己陶酔してくる。

②説教が相手に伝わっていない、という事をうすうす感じるので、何度も同じことを言ったりする。

 

と言っています。

私は、②は実感としてよくわかります。何かを言っても「あ~全然入ってないな~・伝わってないな~」的雰囲気が感じられると、余計に何度も言いたくなる気持ちになります。でも、そういう時って、言っても効果はあまりないんですよね。

 

そこから河合先生は、説教が効果を持つには長すぎると効果がでないので、短くなるように工夫しなくてはいけないと述べています。具体的には

自分が絶対に言いたい事に焦点をしぼる。

繰り返し同じことは言わない。

と心に決める、と。

これも、なるほどな~と思います。

 

更に私が思うのは、以前のブログ(夫婦・カップル関係が良くなるために(1))、で書いた、言う前に「ちょっと話したい事があるんだけど、いいかな?」「大事な話があるから、時間がある時に言ってくれる?」と「予告をしておく」と効果がでるように思います。

 

また、説教というのは、ストレス発散にもなっていて、だから多くの人が、部下や年下の人にやるのだろう、と。それに気づけば、“ま~お互い様だな~俺もついつい言っちゃうしな~”となって、上司の説教も、少しは穏やかな気持ちで聞けるのでは、とも言っています。いかがでしょうか?

 

これは時と場合によりそうですかね。こちらに「ゆとり」があるといいですが、ゆとりがない時は、なかなかこうは思えないですし、説教がパワハラとかになってくるなら、そんな悠長なことは言ってられませんしね。ただ、ゆとりがある場合なら、上記の視点を思いだせると、お互いにとって、ま~ま~いい感じにはなると思います。

 

そして最後に、説教がストレス発散になる、という事は、裏を返せば説教をしないといけないぐらいのストレスが溜まっているわけだから、説教をしたくなったら、まずその気持ちに気づく事が大事だろうと言っています。そこから、変に説教をして迷惑がられるより、自分のストレスに気づいて、それに対処していく方がよっぽど得策だ、と。それが上手くいけば、説教したい気持ち等どこかにいってしまうだろう、と。

 

ここは、そうだな~と思いますね。もちろん、自分のストレスとは関係なく、しなければいけない注意というのもありますが、その気持ちがやたらと強かったり、言い方が感情的になりすぎたり、話が長くなりそうな時は、言う側のストレスの問題が絡んでいるように思います。

 

という事で、皆さん。

・説教に効果をもたせたいのなら、予告をして、ポイント絞って短く。

・過剰に説教をしたくなったら、それをストレス蓄積のサインと捉え、そこへの対処策を考える。

 

というようにしていくと、自分にも他人にも良いように思います。私にとっても難しい課題ですが、ボチボチその方向にいけるといいですよね。

 

『こころの処方箋』河合隼雄 1992 新潮社