「心の問題にとりくむ」ということ

しばらく前のブログで、「悩みを悩むこと」の意味、と題するブログを書きましたが、今回はその続編という内容になると思います。なので、下記の内容も、当オフィスで実践しているカウンセリングの理解への一助として読んでいただければと思います。

 

「悩みを悩むこと」の意味でも書きましたが、カウンセリングのやり方は、基本的にケースバイケースです。そこを前提とした上で、その記事では、クライエントさんの悩み・主観的苦悩が、あまりにも強すぎる場合は、どう和らげるかを考える。一方、そこまで強くはない場合は、時に、「悩みを適切に悩んでもらう・悩みに触れてもらう」方向のカウンセリングがある事をご紹介しました。

 

そして今回は、後者の続編になります。カウンセリングのなかで「悩みを適切に悩んでもらう・悩みに触れてもらう」というのは、いいかえれば、「心の問題にとりくむ」という事です。具体的にどういう事なのか、少し書いてみたいと思います。

 

たとえば、A:どうしてかはわからないが、いつも年上の人ともめ事をおこしてしまい、仕事やプライベートに大きな支障をきたしてしまう。あるいは、B:どうしてかわからないけど、なぜか仕事が続かずすぐに辞めてしまい、日常生活が色々な意味で大変になる、といった方がカウンセリングに来られたとします。

 

さて、これを私ならどう考えるか。まずは、①明らかに本人の心の問題とは言えない、外的要因がどの程度あるかをたしかめていきます。例えば、もめ事をおこしてしまう相手が、本当に「そういう感じの方」なのか、あるいは、職場を辞める理由が、あきらかに「パワハラ・セクハラ・職場内労働環境が酷過ぎる」といった、外的要因がどうか、という事ですね。

 

もう一つ大きな外的な要因に、②精神的に重い病気を抱えているか否か。これも、当然考慮します。

 

そこで、①をよく聞いていった結果、明らかにクライエントさんの外側・周囲に問題がある、という場合は、カウンセリングで本人の「心の問題に取りくむ」という作業は、さほどしないかもしれません。それよりは、別のやり方を考えるでしょう。

 

②に関しては、明らかに重い病状がある場合は、まずはその治療というものを第一に考え、カウンセリングでの「心の問題に取り組くむ」という作業は、おこなうとしても、そのあとになるでしょう。

 

一方、そのようにして①②を丹念に聴いていった結果、それらに該当する外的要因がない場合、もしくはあったとしても、さほど強くない場合は、クライエントさんの心の中に、緩和・解決した方法が望ましい「心の問題」があるのかもしれない、と仮定します。

 

ここでポイントなのは、ともに、「どうしてかはわからないけど‥」といったように、理由が本人にもよくわからない、という事と「繰り返してしまう」という部分です。簡単にまとめると、「理由がよくわからず繰り返してしまい、それがその方の人生に大きな支障になっているという事です。

 

これは、「いつも~のような人とばかりつきあってしまい、ひどい目に合う。わかってはいるんだけど‥」といった問題も含まれる可能性があるでしょう。

 

ここでは、「理由がよくわからない反復」が生じ、それがその方を苦しめているわけです。この様な場合、私のカウンセリングでは、「いったいそれはどういう事だろう‥どうして繰り返されるのだろう‥どのようにしていけば繰り返さなくなるのか‥」といった事を、本人の性質や、これまでの生きてきた歴史(家庭・学校・職場等々)を伺ったりしながら、考えていきます。

 

私が、「伺っていく」ということは、カウンセリングの中で、クライエントさんもそれについて「考え・内省し・応答する」わけで、この私とクライエントさんとのやり取りそのものが、クライエントさんが、自分の抱えている「心の問題」に取りくんでいる状態となっていきます。

 

この状態は、決して楽なことばかりではありません。自分のことや、自分の生きてきた歴史を振り返る事は、時に、きつい事もでてきます。

 

こちらはカウンセリングのなかで、そのあたりも考えたり、時に「きつすぎますかね‥今日はこれぐらいにしておきましょうか」といった事を伝えるなど、過剰な無理にならないようにしながら、一緒に、クライエントさんの抱える心の問題の解決・緩和を目指してきます。

 

そして、そのプロセスがすすむにつれて、クライエントさんを苦しめていた、あるいは人生に大きな支障をもたらしていた「理由がよくわからない反復」の正体がみえてきたり、その解決法が浮かび上がったりしていきます。

 

カウンセリングのなかで「心の問題にとりくむ」というのは、上記のように、決して楽な事ばかりではありません。ですが、時に多少のしんどさを伴いつつも、カウンセラーとの共同作業の中で、自分の心の問題をみつめ、それを解決し、より良い未来を迎えうる、とても「意味のある重要なとりくみ」だと思います。

 

浦和南カウンセリングオフィスで実践しているカウンセリングがどんなものなのか‥といった疑問に関する一つの参考にしていただければと思います。