今回は、カウンセリングの「技法」の説明をしつつ、当オフィスのカウンセリングの中身を、少しでも伝えられるものを書きたいと思います。
当オフィスでは、相談者の方(クライエントさん)の性質や抱えている問題に応じて、様々な技法などを組み合わせていく、統合的カウンセリング、というカウンセリング方法を用いています。それへの説明は、このホームページの「ホーム」、より専門的な内容なら「スーパーヴィジョン・教育分析」、あるいは、2017年9月26日のブログ「統合的カウンセリングとは」をご覧ください。
さて、現在カウンセリングの「技法」なるものは、何十種類、人によっては100を超えるという方もいます。また、同じ技法でも定義のされ方が人によって異なったりします。今回は、私が様々な形で影響を受けている、精神科医の滝川一廣先生という方の論文を参考に、私なりにカウンセリングの「技法」について、説明をしたいと思います。
といっても内容は、個々の技法の説明ではなく、各技法の「共通性」についてです。
技法には様々な種類がありますが、共通するのは、人の日常生活での様々な悩みに対処する対処法・知恵が、様々なカウンセリング技法の原型にある、という事です。
現在のカウンセリングの土台を作ったのは、フロイトという精神科医です。フロイトは1856年生まれです。一方人類が誕生したのは、それより何千年も前です。つまり、フロイトが誕生する何千年も前から、人類は様々な悩みや困難にぶつかり、その都度色々な対処法を考えてきたわけで、その歴史の積み重ねの方が遥かに長いわけです。
もちろん、その中には今からみれば、明らかに非科学的なものもあるわけですが、カウンセリング、という言葉が生まれる以前から、悩みに対する人類の対処法・知恵というのは日常の中に様々あったわけで、それらの幾つかが、高度に専門的に磨き上げられて、カウンセリングにおける「技法」となっているわけです。
一例をあげますと、
①「本人の気持ちを、色々口を挟まずに、まずは丁寧にじっくりと聴こう。」
②「自分ではわかってないようだけど、本当はこんなふうに感じているんじゃない。」
③「まずは、できるところから少しずつやっていこうよ。」
④「そう考えると、しんどくなってしまうんだ‥こんなふうに考える事はできない?」
この①~④って、皆さん身に覚えのある対処法ではないでしょうか?そして、この①~④を、方法論的に磨きをかけ、練り上げたものが、それぞれ
①:来談者中心療法
②:精神分析的心理療法
③:行動療法
④:認知行動療法
といった、一般の方には、あまり聞きなれない様々なカウンセリングの技法となっていくわけです。
もちろん、この説明に納得しない専門家もおられますが、人類の有史以来の様々な悩みに対する知恵が色々なカウンセリング技法の原型にあり、それに磨きをかけたものが、様々な「技法」になったとする滝川先生の論は、私には腑に落ちます。
次に、これらを通して私が皆さん、あるいはカウンセリングを検討している方にお伝えしたいのは、当オフィスのカウンセリングは、皆さんに「全く馴染のない・奇異な・怪しいと感じるものではない」という事です。2017年10月9日のブログでも書きましたが、何やら水晶をもって‥とか、奇異なものはありません。
当オフィスは、人間の日常生活の様々な悩みに対する知恵が、カウンセリンwグ技法の原型にある、という定義を大事にしているので、できるだけ違和感の少ないカウンセリングを志向しています。
やはり、あまりにも皆さんにとって「奇異な・怪しい」ものだと、警戒心が生まれ効果はでづらいので。また、そういった、大げさに言えば、有史以来の人類の歴史にしっかり根付いたものを、方法論的に磨き上げ、専門的に練り上げたものだからこそ、しっかりとした地に足の着いた技法となり、効果がでるのだと思います。
当オフィスのカウンセリングの中身が少しでも伝われば幸いです。
参考文献
滝川一廣「精神療法とはなにか」『治療のテルモピュライ』 星和書店 1998
滝川一廣「心理療法の基底をなすもの」『新しい思春期像と精神療法』 2004