『いじめのある世界に生きる君たちへ』のご紹介

今日は、一冊の本をご紹介したいと思います。

 

『いじめのある世界に生きる君たちへ‐いじめられっ子だった精神科医の贈る言葉』中井久夫 2016 中央公論新社

 

この本、実は紹介するのに多少ためらいもありました。なぜなら、読むのが決して楽な本だからではないからです。少なくとも私にとっては。ただふと、“そんな私の大変さなど、過酷ないじめを受けているお子さんからみれば、ど~ということはないよな‥”といった想いが芽生え、やはりご紹介させていただく事にしました。

 

といっても、中身の詳細に関するご紹介は、私の能力ではできそうもないので、大枠のご紹介に留めたいと思います。

 

この本の著者の、中井久夫先生は、私がこのブログで何度も紹介している、精神科医の先生です。中井先生が、いじめに関する本を書かれた‥という事は以前から知っていたのですが、先日ふと立ち寄った本屋にこの本が置いてあり、少しページをパラパラとめくって「買うしかない」と思って購入しました。

 

この本は、読書好きの小学校高学年なら読めるように‥と考えて作られた本で、本当に平易な言葉と文章で書かれています。一番今回のブログでお伝えしたい事を、先に言いますと、

 

・いじめにあっているお子さんや、そのご家族、学校教職員の方を含む子供の対人援助職に携わる方々、広く子供の教育・行政に関わる方達みなさんに、読んでいただきたい。

・あとがきにも書いていあるのですが、この本を読む前と後では、いじめへの対応が変わってくると思います。

の2点です。

 

簡単に内容を私なりに説明すると、いじめが、どういう構造をもち、どのようにすすんでいくのか(より酷い段階にすすんでいくのか)、その中でいじめられているお子さんがどのような体験をし、どのように追いつめられていくのか、過酷ないじめの構造に陥ってしまったお子さんの「出口なし」感は、ナチスの強制収容所なみのものである事。

 

その中で、いかに自尊心や人としての誇りが奪われ、自分は無価値であると信じこまされていくのか、そして場合によっては自殺の実行に踏み切っていくのか‥といったことが書かれています。

 

先にも記しましたが、平易な言葉と文章で書かれているぶん、読み手には非常に生々しく色々なものが胸にせまってきます。あとがきにもでてくるのですが、まさに「息がつまってくる」感じがしてきます。

 

また、この本の著者である中井先生が、実は壮絶ないじめを体験してきたこと、それが具体的にどのようなものであったのかも克明に記されています。ここも、色々な意味でリアルです。

 

そして最後に、先生が考える、いじめへの対処法が記されています。

この本を読む事によって、確実にいじめへの「理解」が深まると思います。そして「理解」が、より深くリアルであればあるほど、自ずとその場その場でどんな「対策」が有用なのかが見いだせてくるのだと思います。

 

コンディション的に可能な方は是非読んでいただきたいですし、また、SNSを使って、多くの方にこの本の存在が知られ、読まれるといいなと思います。 

コメント: 2 (ディスカッションは終了しました。)
  • #2

    西野入 篤 (金曜日, 04 8月 2017 09:03)

    Koto様:コメントありがとうございました。今更‥などという事は全くありませんので。ご紹介した本は、内容がエンターテイメントではないのですが、やはり多くの方に読んでいただきたい本なので、手にとっていただけるとの事で嬉しいかぎりです。

    話しは全く変わりますが、最近少し風変りな本を買いまして、ちょうどその本を、今日から明日・明後日のあいだで紹介するつもりでした。奇遇ですね(笑い)。
    今しばらくお待ちください!

  • #1

    koto (金曜日, 04 8月 2017 08:34)

    今更のコメントですが、、、、
    紹介してくれた本、良いですね!
    内容の紹介も上手だし、素敵な中井先生の本だし、すぐにでも読みたくなりました。
    早速書店に行って、購入します。

    本好きなのですが、ついつい気分転換の小説ばかり読んでしまうので、ぜひまた心理関係の書籍の紹介よろしくお願いします。
    あ、もちろん他のジャンルでもお勧めがあればお願いします。