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人生の折り返し地点としての中年期

 

公開日:2022/03/01 

 

目次

 

  1. 人生における中年期の位置づけ
  2. ミッドライフ・クライシス

   

 

1.人生における中年期の位置づけ

 

*この記事は、2022/02/01に更新した「若い頃のような無理ができなくなる中年期」の続編です。

 

今回のブログでは「中年期」におとづれる「心の揺れ・動き」について書いてみたいと思います。なお、この記事では「中年期」をひとまず40歳以上と定義して書いていきます。

 

一般的に中年期は人生の折り返しを迎える時期に入っていきます。そして、この時期から人は体力やエネルギーの衰えを感じるようになっていきます。若い時とは異なり、無理のきかなさや、確実に衰えていく身体を感じるようになっていきます。

 

そういった全体的な状況のなかで心には自ずと「これからの残りの人生をどう過ごすか、若い時とは違って限られてきたエネルギーを何に向けていくのか」といった問いが生じてくるようになります。また、その問いとリンクする形で、「自分のこれまでの人生はどうだったんだろうか‥」といった、これまでの人生をふりかえるような心の動きも生じてきます。

 

端的に言えば、人生の折り返し地点にきて、これまでの人生をふりかえりつつ、今後の人生のあり方を考えていくような心の動きが生じてきたり、あるいは考えざるをえないような状況が生じてくることがあります。例えば、家族、職場での人間関係の悩みや心の不調など、その方にとって切実なテーマ、問題が生じてくる場合もあります。まさに「心の揺れ」として体験されるものです。

 

もちろんその強さや、それをどの程度意識するかしないかは個人差があるでしょう。

 

2.ミッドライフ・クライシス

 

これらの切実なテーマや問題は場合によってはかなりボリュームがあり、心に強い負荷を生じさせうることがあります。人によっては精神的な失調に繋がる場合もあります。そういったこともあって、臨床心理学のなかでは、中年期の方が、このようなテーマにふれて心身に様々なことが生じてくる状態を「ミッドライフ・クライシス」「中年の危機」ということもあります。

 

私のこれまでのカウンセリング経験の中でも、この時期にカウンセリングにこられる方の一定数の方に上記のテーマ、すなわち「これまでの人生のふりかえり+今後の生き方の検討」といったモチーフが内在しているように思います。これらはカウンセリングを積み重ねていく中で徐々にみえてくるものです。

 

そのようなテーマにとりくむカウンセリングは時にしんどさを伴います。一方、大変さもありますが、そのテーマにカウンセラーと共同でとりくんでいくことで、大事なことに気づいたり、人生の後半をどう生きていくかに関する指針を手に入れていく方もおられます。

 

個人差はありますが、人生の折り返し地点となる中年期に入っていくなかで、心には「これまでの人生のふりかえり+今後の生き方の検討」といったテーマがたちあらわれてきます。それは時に切実な悩みや問題の形をとって表れてきます。そして、そのてテーマについてカウンセラーと協力しながらとりくんでいくことは、その後の人生、未来を豊かなものにする契機になっていくのだと思います。