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心のセルフケア方法のアップデート

公開日:2021/11/03

 

 

目次

  1. カウンセラーの視点からセルフケアを考える
  2. 『こどもが考えた気持ちを楽にする23のくふう』から
  3. セルフケアを考える時に大事なこと
  4. セルフケアで上手くいかないときは
  5. 参考資料

 

文責 福田 優菜

 

 

1.カウンセラーの視点からセルフケアを考える

 

2021年11月現在、新型コロナウィルスによって不自由を強いられる生活が続いていますし、この状況は当面続くものと思われます。コロナ対応で仕事の負荷が増えた、旅行や外食が楽しみだったのに行けなくなった、毎日のように暗いニュースが流れていて気持ちが塞ぐ…など、挙げればキリがないほど私たちの心身に負担がかかってきています。

 

そういった状況では、自分の心や体を楽にするためのセルフケアが重要になってきますが、十分にできているでしょうか。今回のブログでは、最近ふと目にとまったセルフケアに関するアンケートについてご紹介した上で、セルフケアをする際に心にとどめておいた方が良いと思うことについてカウンセラーの視点から書いてみたいと思います。

 

2.『こどもが考えた気持ちを楽にする23のくふう』から

 

国立成育医療研究センターが、2021年2月から3月に、『コロナ×こどもアンケート』として、小学1年生~高校3年生までの子供を対象にアンケート調査を行っています。今回ご紹介するのは、その中で「お気に入りのストレス発散方法をおしえてください」という質問に対する自由記述の回答をまとめたものです。

 

挙げられた方法は様々で、具体的には、誰かに話す、書く、絵を描く、運動する、本や動画を見る、寝る、自然にふれる…など様々なものがあり、かわいいイラストとともに紹介されています。

文末にリンクをはっておきますので是非ご覧ください!

 

私がこのアンケート結果を見て素晴らしいと思ったのは、子供たちが自分自身で気持ちを楽にする工夫を考えて実践しているということです。コロナ禍の時代を生きる子供たちは、生活状況の急激な変化で我慢を強いられることが多く、大人以上に負担を抱えています。

 

子供が自分自身で気持ちを楽にする工夫を考える力は、今後生きていく過程で生じる困難を乗り越える上で役に立つものだと思います。

 

そしてここには、大人でも取り入れられることが多く紹介されています。このアンケートを見たり、ご家族や友人と話題にして考えるなかで、ご自分なりの新たな方法を探してみるのも良いでしょう。

 

3.セルフケアを考える時に大事なこと

 

さて次は、セルフケアを実践する上で心にとどめておいた方が良いことについて考えてみたいと思います。私自身が実際に考えて取り入れていることもあれば、カウンセラーとしての経験の中で学んだこともありますので、参考にしていただければ幸いです。

 

(1)方法を複数用意しておく

 

まずは当たり前のことですが、セルフケアの方法が少ないと、一つの方法に偏りすぎてしまいます。例えば、お酒を飲む、甘いものを食べる、ゲームをする、動画を見る、などは、適度に楽しむことができればとても良いリフレッシュ方法です。ですが、量や時間が過度になると依存の危険性もはらんでいます。1つの方法に偏りすぎていると思ったら、別の方法がないかと探してみてはいかがでしょうか。

 

ちなみに私は前回のブログ(心を映す写真)でもお伝えした通り、iPhone片手に散歩をして写真を撮ることが好きなのですが、暑さが大の苦手なので夏場はお休みしています。好きなこととは言え逆にストレスになってしまった経験があるからです。また、大人数での飲み会や旅行が好きな人も多いと思いますが、コロナの状況下では自粛せざるをえないでしょう。

 

このように、状況によっては不可能なこともたくさんあります。ですから、セルフケアを複数用意しておいて、その時々の状況に応じて様々な方法を使えるようになると良いでしょう。

 

(2)感情に応じて方法を取捨選択する

 

次に、ストレスの内容やその時の感情に応じて、方法を取捨選択してみるのもおすすめです。

 

私たちは日々、落ち込んだり、イライラしたり、やるせない気持ちになったり、緊張感が続いたり…と、色々な感情を感じながら生活しています。それらが気づかない間にたまっていくと心身のバランスを崩しやすくなるので、少しでも緩和したり整理していく必要があります。

 

そのために、「自分はどんな感情をどんな方法で和らげられるのか」について考えてみると良いでしょう。方法として例えば下記のような種類が考えられます(当然、種類は明確にわけられるものではなく重複するものもあります)。

  • 発散する:運動で汗を流す、人に話を聴いてもらう
  • 気分転換する:でかける、音楽を聴く、映画やドラマを見る
  • 感情に向き合う:それについてじっくり考えたり感じたりする、紙に書いて整理する
  • 体調を整える:睡眠や食事を意識的に丁寧にとる

他にも様々な方法があるでしょう。大事なのは、「その時の感情の緩和や整理に適しているのはどれか」、といった発想です。

 

例えば私の場合、落ち込んだ時は人に会うよりも一人で過ごす時間を持つ方が適しているようです。そのなかで、布団にくるまって一人で考えたり、紙に気持ちを書き出してみたりすると気持ちが落ち着きます。逆にイライラした時は、信頼できる人に話を聞いてもらったり、体を動かしたりなど発散する方法を選ぶことが多いです。

 

また、心身の疲労がたまっている時は自然の風景や音に触れられる場所に出かけたり、そういった種類の映像をみたりすることでリラックスできる気がします。緊張感が続いている時はゆるいコメディ映画を見て笑ったり、ストレッチをして身体をゆるめることで、心の緊張もほぐれていくように感じます。

 

このように、その時の自分の感情などに応じてセルフケアの方法を使い分けられると、柔軟にストレス対処ができるようになります。

 

(3)相手に押し付けない

 

ここまで心のセルフケアに関して大切な幾つかの留意点を挙げてみましたが、人によって最適なセルフケアの方法は様々です。運動して発散したり外に出かけたりすることが好きな人もいれば、家の中で過ごすことが好きな人もいます。

 

カウンセリングでは時々「ストレスがたまったら運動して発散した方が良いと周りに言われるけど運動するよりも家で静かに過ごしたい」「休日は家族で旅行に行きたいのに家族は乗り気じゃなくて楽しくない」といったことがよく話題にあがります。

 

上記でお伝えしたように、その人のストレスの内容・本人の性質などによって、その時必要なセルフケアの方法は異なって当然だと思います。例え家族であっても自分の考えを相手に押し付けないこと、自分に合っている方法が相手にも合うとは限らないことを心にとどめておいていただければと思います。

 

4.セルフケアで上手くいかないときは

 

上で挙げたようなセルフケアの実践は、日常生活に支障を来すほどの大きな不調にならないようにすること、仮に不調に陥ったとしても回復しやすく、更には再発を防ぐことにつながります。まだまだコロナによる生活への制限が様々に続くことを考えると、今一度心身のセルフケアの方法を見直し、生活状況に合わせてアップデートしてみてはいかがでしょうか。

 

また、ご自身でセルフケアを複数試してみても一向に改善しない場合は、カウンセリングの中でより具体的に、その人にあったストレス緩和方法を探してみるのも良いかもしれません。

 

あるいはそのような方法を一緒に探すだけではなく、「信頼できる他者(ここではカウンセラー)と大切なことをやりとりすることそのもの」が、自身をケアしていくことにもなっていきます。カウンセリングの中心的な役割はここにあると思います。

 

また、眠れない、食欲がない、毎日気分が沈んでいる…といった状態が長く続く場合には、医療機関への受診も視野に入れていただくことをお勧めします。

 

5.参考資料